☆ハイローハート
部活帰りの大きなスポーツバッグ

「……その人に話かけられた……かな」

「あこが怒るようなこと、言ってきたってことだよな?」

「んー……なんやろ、もう忘れた」

「は?」

言ったって仕方ないし

ってゆうか……言ったところで痛むのは自分の胸だし

理一がアタシの目を見て気持ちを探っている

理一といれば、アタシの傷がえぐられる


「じゃあアタシ、ごはんの買い物でスーパーまで遠征するからバイバイ」

「タンマ」


手をつかまれたわけでも、腕を引かれたわけでもないのに、行きかけた足を止めてしまった

アホ、アタシ


「ほんとは忘れてないだろ?
何言ってきたか教えてよ
みさきが言わないならあこからどうせ聞くんだから」

「……なら、あこから聞いて」

「あこから聞いたら俺、暴力ふるわれちゃう」


……ぶりっこか


「自業自得やろ、アホっ」とアタシが理一の肩を叩くと、避けもせずにそれを受け止めた理一

「ホラ、みさきなら手加減してくれんじゃん」

その言葉にもう一度ふりあげた手をパッと握られて、理一に引かれるまま公園の中に入って行く


背後を誰かが通る気配がして振り返ると、コンビニの袋をぶらさげたお隣さんがこっちを見ながらマンションに戻って行く姿があった


「ここなら、人通りが気にならない」

とブランコ近く

スポーツバッグを置くと、ブランコの周りを囲う鉄柵に理一は腰掛けた

アタシの目の高さより下に彼の頭のてっぺんが見える

夏場に明るくした髪は、トーンをさげて秋っぽくカラーチェンジされていた

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