☆ハイローハート
吐いた息はため息まじり

会話のきっかけがなくて足を動かすと砂が鳴るから、右足の裏でジャリジャリと砂をかき混ぜた


「嫌われそうだけど正直に言うと……
さやかと付き合ってるときチャコちゃんと、えっと……その……
出来心で魔が差して」

ありがち

まるでドラマを見ているみたいな、どこかで聞いたセリフ


「だから、なんてゆうか、チャコちゃんとは別にそんな大した関係じゃないから」


ほら、やっぱり、チャコって女の話やのに痛むのはアタシ

「あの人から聞いて大体は想像ついてたよ」

と平常心を装ってやっと一言繰り出すと、理一は「何を聞いたの?」と質問してきた


「……あんたが今の彼女?って聞かれた」

「それだけ?」

「理一は性癖が激しいし浮気癖があるから、おすすめできひんって」

「…………」


そりゃ、返す言葉もないよね

「やめといた方がいいよって言われたけど……
やめとくもなにも、理一と付き合う事はないしね」

これは、正しい回答

理一のひざあたりに目をやって「うん、だから、気にしてないから」と微笑んで、公園内の時計にわざとらしく視線をそらした


「あー、もう、スーパーしまっちゃうしアタシ行くね」

「何、今の」


……なんで、振り切って歩けないのアタシは


「俺と付き合う事はないって、なんで?」

「なんでって、大体アタシ今は国坂くんと付き合ってるし」

「向こうを選ぶって事?」

答えられなくて黙っていると、「無視?」と問い詰められる


アタシじゃない

ずるいのは、アタシじゃない

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