☆ハイローハート
「俺さ、行きたいけど無理だと思ってた大学に手が届きそうでさ」

「うそ!すごい!!
国坂くん、めっちゃ勉強してるもんな~」

「そこをちょっと視野に入れようと思ってるんだよ」

「へえ~、そうなんや~~
どこ??」


国坂くんは一瞬言いにくそうに止まったけれど「……関西の方の大学」とはっきり言った


「関西……」

「うん、京都
だから、そっちに行ったらみさきちゃんとは離れ離れになる」

「離れるって言っても、国境越えるわけじゃないし」

「うん」


……どういう意味??
離れ離れになるって、どういう意味で言ったんだろう


アタシは「……遠すぎる??」と国坂くんの意志を確認するように聞くと、ゆっくりと首が振られた

「合格したらね
みさきちゃんが寂しくてもすぐには会いにこれなくなる」

「アタシは平気
あことかMJがおるし、メールや電話いっぱいしよ??」

「うん……」


煮え切らない返事に不安が増して、「だからがんばって……」と国坂くんの手を握った

言葉とは違って強く握り返してくれる


「国坂くんは、遠距離がいや??」

「俺……は、相手がみさきちゃんなら遠距離であろうが、海外であろうが……平気
みさきちゃん以外の女は考えられないから」


ほら、ね

国坂くんはいつだってほしい言葉だけをくれる

その期待を裏切ることも、アタシを傷つけることも絶対にないの


「アタシも平気
相手が国坂くんなら、信用できるから……平気」

マンションへの近道、公園の中でアタシは国坂くんにぎゅっと抱きついた

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