☆ハイローハート
今、なんて???

こっちを見る目が、アタシを見ているのかトンでいるのか計りかねて思わずアタシから視線をそらす

逃がした視線の先にポスターがあって、“SWEE2”の下に“セシル&クレア”と書かれてあるのを見つけてなんとなく冷や汗


「セシルがこのマグカップを使ってくれてて嬉しいよ」


と語りかけられて、足がすくんで動かなかった


ちょっと危ない人??

アタシは近くのダンボールの上にマグカップを置いて、自分宛の荷物をとにかく早く見つけようと動き出した


「飲んでみて
セシルがボクに手紙で“今はまっている飲み物はミックスジュースの豆乳割り”って書いてくれてたから、それを作ったよ」


……あ~~~
かんぺきにアタシの事をセシルって呼んでるよね

聞こえない振りをしてアタシ宛ではないダンボールを次々に脇によけていくと、小さな小さな箱にリボンが巻かれてあった

そこにメッセージカードが添えられてある……


「やっぱり見つけてくれた
セシルならすぐに見つけてくれると思ったよ
さあ、開けてみて」

「あの……
アタシ、諸岡みさきで……セシルじゃないんです」


もしかしてアタシ宛の宅配便って、これのことじゃないよね


「ほしいって言ったでしょ、早く」


口調に“否”といえない迫力があって、りぼんをほどき有名アクセサリーショップの名前が入った小箱をあけると一粒ダイヤモンドリング

メッセージカードには隣人が書いた文字はないけれども、最初から筆記体で「Will you merry me??」と印刷されてある


……マジっぽい


「アタシ……は、セシルじゃないです」


と言っても、隣人は全く聞いている気配もなく満足気にアタシをじいっと見つめている

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