☆ハイローハート
アタシが首を振って拒否をすると、「そう……」と呟いて近くのクローゼットをあけた


ずらりと並ぶセーラー服


「じゃあ着替えようか」

とその内の一枚を見せられて、一歩後ずさりをした


返事すらできずにいると「そんな制服より、セシルはこっちが似合うから」と突きつけられる

その力がものすごく強くて、アタシは後ろに倒れそうになりながら受け取った


「……着替えるから……出ててください」

「どうして?恥ずかしがることないよ
結婚しようと思ってるんだから」

「結婚してません」

「“まだ”ね」


隣人は鼻で笑うと「恥じらいのある女性は嫌いじゃないよ」と部屋を出た

こんなセーラー服に着替えるのはごめん


とアタシは慌ててポケットからケータイを取り出して電話を起動させた


……誰なら確実に電話にでる?

国坂くん、は今日何してるって言ってたっけ?

理一、はサッカーの練習……多分

あこ、はとよきと一緒かな?

龍一かママ

この二人のどっちかなら電話に出ると思う


と先にママにかけたけれどいつまでも呼び出し音が鳴るだけで応答しなかった

キッチンにいるから気付いてない??


と次に龍一の番号を表示させようと急いで操作しているときに限って誤操作

ドアに背をあてていきなり開かないように押さえながら通話ボタンを押すと「着れた?」と外から声がかけられて、ドアがぐいっと押された


背中にぶつかった衝撃で手からケータイは落ち、薄く開いたドアの前まで滑っていってしまった

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