☆ハイローハート
制服としてはあり得ないような色のミニスカートに履き替えさせられる


何かを思い出したように隣人はテレビのスイッチを入れるとDVDを再生しはじめた

もちろんSWEE2の映像が流れ出す


「この振り付けを踊っている時のセシルが一番かわいい」

なんとなく、似てるかなとは思った

だけど確信に変わる

ポスターにうつっているセシルより、動いているセシルの方がアタシにますます似てる

自分でも、そう思うくらい


イスを持ってきてアタシをそっと座らせると、「後でこれ踊ってみて、僕だけのために」と手を撫でられた


そのまま近くの引き出しからガーターベルトとストッキングを取り出し、アタシの前にひざまずく


……アタシが履いているソックスをゆっくりゆっくりと引き抜く隣人の背後のダンボールの上に、開梱用のカッターナイフが置かれてあることに気付いた


最悪、アレで脅しながら逃げよう


新品のストッキングを開封している隣人の姿をチラリと見た


純粋にアタシを着替えさせたいみたい

服を脱がせても、下着にすら触れなかった


……大人しくしてれば逃げ出すチャンスがあるかも


だけど、水没したケータイを見ると身が縮こまる

その時、耳が何かを察知した

テレビ画面の中で歌う二人の声が大きすぎて、不確かではあったけれど……


マンションの廊下の方で声が聞こえたような気がする

大丈夫

時間がたてば戻ってこないアタシの事を不審に思って……

ママと龍一が絶対に探してくれる


「ストッキングは絶対黒がいい……ね、セシル……聞いてる?」


隣人の口調と視線の温度差に怯えきったアタシは、ついに

「はい……」と返事をしてしまった

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