☆ハイローハート
なんとなく二人顔を見合わせた

時計の針は23時前
まともな来客の来る時間ではない

理一がテレビのボリュームを下げて立ち上がった

「家の人じゃねーの?」
「ありえへん」

そういうと、彼がインターホンを持ち上げた

「はい」

…………

理一がアタシを見て首をかしげている

何?

「はい」

さっきより大き目の声で応答しているけれど、何の反応もないみたい

インターホンを置くと、そのまま玄関へと向かっていくからついていく
そして開錠すると少しドアを開けて人の気配を確認してから、更に廊下に誰かいないか見渡している

誰もいないらしい……
アタシも理一の腕の下に頭をくぐらせてのぞいてみたけれど、本当に誰もいなくてすぐひっこんだ

理一が「ピンポンってなったよな?」と言いながら念入りに戸締りをする

「うん、鳴ったよね」
「風か?」
「まさか」

とぼとぼとリビングに戻るとソファーに座る
その横に理一も座るとテレビの音量を元に戻した

――俺の車にいたずらしたのは相手チームの奴らかって?
そうに決まってるさ
それに、これは“いたずら”なんてもんじゃない
陰険な、いやがらせ行為だよ
でも、相手にしないことだ
リングでギャフンと言わせてやるさ
それが、真のファイターってもんだろ?なあ


筋肉質すぎてTシャツがピチピチになっている男に、日本語吹き替えがあてがわれている

なんで、吹き替えのしゃべり方ってこんなに違和感があるんだろうーね

「いたずらって、この人何されたん?」

「練習中にこの人の高級車の中にニワトリを三羽入れられて、車内がフンまみれになった」

「……それは確かに陰険だね
アメリカンジョークは、ようわからん」

理一も肩をすくめている


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