☆ハイローハート
「舌はすごく腫れてるし、唇も切れてるからうがいしておいて
うがい薬とか使うと消毒になるけど、もししみるなら普通の水でいいよ
あと、抗生剤出すから飲んでね」

そう言いながら女医はイスの背もたれにもたれかかると、パソコンを操作しはじめた

入院患者用の服を押し付けれられてカーテンの奥にひっこむ


派手な色のセーラー服

片方だけのストッキング


『セシルじゃねー!!』
『みさきに何してくれてんだよ』


薄ピンクのパジャマは膝まで長さがあって、ぶかぶか


アタシを抱きとめる理一の向こうから男の腕がアタシを掴んで、もつれるように室内に倒れこむと理一から離れてしまった

「理一」「みさき」ってお互いが近寄り合おうとした横で、男がダンボールの上に置きっぱなしのカッターナイフを取りアタシに向けて振り下ろすのが見えた

理一がかばってくれた瞬間に立ち上がると、彼の腕を流れた血が絨毯にぽたりと落ちる

血を見て動けなくなったアタシを抱いて理一は逃げようとしたのに、ドンっと男がぶつかってきてつんのめるように部屋を出るとそのまま目前の壁に衝突

それでもかばってくれている理一の腕の中でなんとか体を動かして男を押し返そうとすると、ギュッと抱きしめられて顔が理一の鎖骨あたりに埋まった


ふっと負荷が軽くなる

ガラスの割れるような音が響く中、じっと動かずにいると、理一が小さく「マハリクマハリタ」と呟いた


何で今サリーちゃん??


理一はアタシを抱く腕の力を抜いて、アタシの肩にもたれかかった


彼の体を支えるようにしっかりと抱きしめると、触れ合った心臓がドキドキと早く動くのがわかる

あっという間に同化する



「みさきが、俺に恋するおまじない」


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