☆ハイローハート
「ん、よし」

理一がパタンと携帯をとじてテーブルに置いた

「なー、なんでいつも一人なの?」

「うーん」

「お母さんは?」

「いるよ」

「お父さんは?」

「いるよ」

「……そうじゃなくて」

理一はアタシがいじっている携帯をスッと取り上げた

「お母さんは?」

「いるってば」

「どこに??」

「うーーーん」

「どこに??」

「……男んとこ」

「お父さんは??」

「外国なんじゃない??」

「なんでしらねーんだよ」

「居場所どころか、顔も知らんもん」

かける言葉を失ったのか、理一が前髪をわしわしかいている

……犬が前足で顔をこすってるみたい

アタシがフフって笑うと、「何がおもしろいんだよ」と怒られてしまった

「アタシのお母さんが妊娠中に、父親らしき外人さんはお国に帰っちゃったんだって」

「お国って……結婚してたんじゃねーの??」

「してないよ、留学生だったって言ってた」

理一が横目でアタシをじっと見ている

「お母さん、若い頃から京都で芸妓してて、その頃に出会ったんだって
でも留学期間が終わると帰っちゃったんでしょ」

「……それはいいとして、で、母親はなんで今は帰ってこねーの?」

「恋多き人だから、家に帰って来るのは男とうまくいってないときだけだよ」


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