☆ハイローハート
廊下をどこまで歩いて行くんだろう

立ちくらみのように足元がちょっとフラつくけれど、悟られないようにしっかりと地面を踏みしめた

ゆっくりでも、たとえ時間がいっぱいかかっても、理一のもとにたどり着けるなら歩き続けるんだから……


って健気に考えてたのに、アタシの居た病室の3~4部屋隣りでママが「ここよ」と言った

……ちかっ

うん、嬉しいけど

アタシと同じ個室のドアをあけると暗くて、真っ白なベッドが今の理一の状態を表すかのように宙に浮いて不安定に見えた


理一の寝相は知っている

でも、1人で寝ている時のは知らない

横にいるときは、常にどこか一部アタシに触れてるの


アタシのお腹に手を置いていたり、手を握っていたり、アタシの足の間に自分の足を挟んでいたり

だから寝相よく、真上を向いて微動だにしない理一はまるで人形みたい


息、してる??


ママの手を無意識に離して理一のもとに寄って行くと、色々な線や管につながれているのが見えた

横にたくさんのスイッチがついた機械も置かれてあって、何かを記録するようにメーターが動いている



強引と不意打ちは理一の常套手段



理一の呼吸と体温を確かめたくて両手で彼の頬に触れたつもりが、気付けば唇を重ねていた


もちろん一瞬だけ

理一はいつだって、弱った振りしてキスを誘う


最初は、理一の誕生日

二回目は、マンションの近くで理一が泣き出した時

三回目は、……今



ママがパチンとスイッチを入れると、蛍光灯が点こうか点くまいか散々点滅して逡巡した後、観念して青く光った

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