☆ハイローハート
「あ、もう!またここに居た!!」

揺さぶられて目をあけると、看護婦の北口さんが体を折り曲げてアタシの顔を覗きこんでいた

ゆっくりと頭をもちあげて寝起きの頭で場所と時間を確認する


「部屋にいないと思ってこっちのぞいたら……!
風邪引いたらどーするの?
今日の診察次第では退院なんでしょ??
ほら、病室戻るよ?」


「戻りたくない」

「ダメです!」


強制退出させられて自分の部屋に戻ると既に朝食が運ばれていた


今日の検査結果が良くなかったらいいのに

そうすればまだ理一と一緒に病院に居れるのに


なんて

そんな願いも聞き入れられず


もともと怪我らしい怪我はなくて、極度の緊張状態で意識を失っただけのアタシの退院はさっくり決定されてしまった


帰るときに着る服をもってきてくれたのはあこ

こーゆー時、普通は親類がくるとかいうルールは母親に通用しない


北口さんはクリップ板に色んな書類を挟んで、お昼過ぎにアタシの病室にやってきた

あこと並んでベッドに座り彼女のスマートフォンをいじっていると「はい、ここにケータイの番号書いて」と紙とペンを差し出された


何かの書類ってわけじゃなさそう

だってそこにはかわいいピンクの付箋があったから


「西田くんの意識が戻ったらすぐに連絡して欲しいでしょ??」

それは、是非ともしてもらいたいねんけど……でも

「アタシ、こないだケータイが水没したから……」

あこはポンと手を打って、「このまま帰りにショップ寄ってケータイ買いに行こ」とウレシそうに言った

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