☆ハイローハート
「だから、やっぱり、あれは間違いなくカブだったんだよ」

あこだけが言ってるならまだしも、意識不明で昏睡状態だった理一までがカブの名前を出したんだから……それはもう、カブだったんだと思う

そんな事ってある???

人間と動物の感動物語にありそうな展開

それが実際目の前で起こるなんて


理一の家族達は女医先生と話してから帰ることになって、あこと二人でマンションに向かった

行きはタクシーにのったけど、帰りはもちろん電車


売れ残って安売りされてる花火?
それとも夏の間にすることができなかった花火?……最寄駅前の公園で季節はずれの花火をする男女の姿が見えた


「今年、理一は誰と花火見たんやろう」

「家に居たんじゃない??」

「そうなんや」

「モロは国坂くんと見に行ったんだよね?」

「うん」


その手持ち花火の赤や緑に変わる色をみながら公園を横切っていくと、あこが思い出すように語りだす


「あの日ね、モロが隣の家にいるかもしれないって教えてくれたの国坂くんなんだよ?」

「……そうなん??
なんでそんな事思ったんやろ」

「隣人の男が逃げようとしたのを、蹴りの一撃で阻止したのも国坂くん」

「……そっか」

「モロさ、国坂くんの家が塾してるって言ってたけどね、あれ学習塾じゃなくて格闘技の塾って知ってた?」

「えっっ!!!」


塾生は男ばっかりやったし、気合を入れる声が聞こえたりしてたけど……スパルタな進学塾だと思ってた

考えれば色々と納得がいく

国坂くんがスポーツはしてないのにガタイがいいのも、それで??


「国坂くんがいなかったらモロを見つけられなかった……だから、国坂くんにありがとうって言わなきゃね」

あこにそう言われて、アタシの胸が痛み出す

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