☆ハイローハート
アタシは一歩一歩踏み出すつま先を見ながら、見えない明日に、つながる未来に……おもいをはせる


ちゃんとわかってる

アタシのために作られたその居場所におさまると、心が安らいで穏やかに日々をすごせる事を……

そこは本当に快適で不安の欠片もないの


国坂くんの隣にいることはとても幸せだって理屈ではわかってるのに

気持ちにウソをつくのがもう限界


理一の言葉を

声を

手を

目を

何度も交わしたすれ違いのキスを



思い出すほど




好きな気持ちで胸が、もう……いっぱい



だから

だから国坂くんには



「ありがとうと、ごめんなさいを……言わないと」


アタシの言葉にあこが微笑んだ

マンションの真下

ふとアタシの目の前に影が伸びて顔をあげると、「おかえり」と国坂くんが立っている


「警察でみさきちゃんが退院したって聞いて、会いに来た」


そう言って国坂くんは読んでいた本をパタンと閉じた

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