☆ハイローハート
目を閉じるタイミング

唇が触れ合うまでのドキドキがどんどんと高まっていく感じ

理一とアタシが二人で距離を縮めて、こんなにゆっくりと重なって

触れ合えなかった時間を埋めるように……


う、埋めるように……


上半身を前かがみにして理一とチューしていたら

怪しげに動いた理一の両手が、アタシを抱っこしてくれるのかと思ったのに……


そーーーっと胸を下から支えるようにあてがわれて

……パッと体を起こした


理一は胸をかたどった手を宙に浮かせたまま止まっている


「お、俺の意思じゃないから!!」

「理一の意思やろ!!」

「……俺の手ェェ~~~」


理一が自分の手に怒っている小芝居を見ること数秒

あきれ返って理一の横に座ると、空気を変えるように理一は大きく深呼吸をしてくるっと首を回しアタシをじっと見つめた


「俺……みさきの彼氏になりたい」


…………っ!

突然の申し入れ

理一の表情をキョトンと見ていると


「みさき、彼女になって……」


と恥ずかしそうに言われてしまった


その気持ちがアタシにも伝染して、くすぐったくて……理一の首にキスするように抱きついた


「……理一の彼女になるっっ」


そう答えるとやっと彼の長い腕の中に閉じ込められて、急激にアタシの体が溶けて理一に全てを預けるようにもたれかかった


少し上がった体温も、血液までもが実感を伴って全身をかけめぐる

頭の先もつま先も熱に溶ける頃
やっと理一を見上げると……待っていたように顔が近づいてくる

キス……の間際でキッチンから「みさきちゃ~~ん」と呼ぶ声が聞こえてきた


「ママが呼んでる」

「俺が先」


とアタシの腕をつかむ理一の手をそっと離す


「彼女の手料理、食べたくないの?」

「彼氏のために作んの?」


アタシは立ち上がりながら理一を見て笑った

理一も笑ってる



そしてどちらからともなくチューをして、アタシは理一の部屋を出た


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