☆ハイローハート
* * * * *

龍一の部屋に入ろうとすると、理一もついてくる

「理一はくるなよ」

って龍一はあからさまに嫌そう

イスに座ってる龍一の横のベッドに座って「ごめんね、長いことカテキョ来れなくて」と謝ると早速問題集を開いて見せられた


「ほんまに龍一は勉強熱心やな」

「絶対理一より頭のいい高校に行くんだよ」

「うん、行けると思う」


アタシが間違いに気付いたところにシャーペンで印をつけている横から龍一がのぞいてくる

「龍一、この名詞の複数形は単純にSをつければいいんじゃないねん……」

単語自体が複数形をあらわしてるから、反対にこれを単数形にするとなると……と説明していると、龍一は問題集を見ていた視線を上げて

「みさき、また週1で来てくれるんだろ?」と確認された

「もちろん」


「え~~~」


……なんで理一に“え~”とか言われてんの??

「デートの時間が減るっ」

堂々とのたまう理一に「もういいから」とそっけなく答えて話を元に戻そうとしてんのに


「なんでみさきと理一がデートするんだよ」


と龍一がついにイスをぐるりと理一に向けてにらみ合いがはじまった


……この兄弟、ほんまにいっつもいっつも……

アタシの横で同じようにベッドに座っている理一は龍一をまっすぐ見て「みさきはお前に譲らねーよ?」と挑発


「譲るも譲らねえもねーだろ」

「あるね」

「みさきは理一のじゃねんだから」

「俺のです」

「ああん??」


アタシは二人のケンカを聞きながら問題集をパタンと閉じて龍一の机の上に置いた

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