☆ハイローハート
「理一がおったら勉強にならんから龍一、日にち変えよう」

「……わかった」


サテ……と立ち上がってスカートをパンパンと整えていると「みさき、家まで送ってく」…………


「ほんまに?ありがとう龍一」

「カバン理一の部屋に置いてんだろ?
取ってきてやるよ」

「うわ、やさし!
お願いしまーす」


と龍一の背中を見送ろうとすると、また理一が口を挟んできた


「龍一、お前の憧れのおねーさんは俺の彼女になったんだよ
だから俺が送ってく」


アタシは理一に振り返って、その顔をのぞきこむ


「理一はァ、今日退院したばっかりやねんからちゃんと寝てて」

「もう元気だから退院したんだっつの」

「安静にしてて
今日は、龍一に送ってもらうから平気」


そう言って微笑むと、理一は「……わかった」と不服そうにうなずいてくれた



6階から5階へ降りるだけだけど……


非常階段から廊下へ出るドアを開けるといやでも心臓が血流を激しくする

玄関のドアを見て張り紙がされてないことを確認しても、嫌な記憶に平常心でいられなくなる


「みさき、男の趣味悪い」

「理一のこと?」

「アイツ、バカなのに」

「でも……一生懸命やん?」

「それしかとりえねーから」

「もうっ!なんでそんな理一に意地悪言うのっ!」


龍一は眉をしかめて苦笑すると「ま、でも命かけられたらどんな男も敵うわけないな」と最後にため息をついた


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