☆ハイローハート
こうしてる間にも、次から次へと涙が流れてくる

何が悲しいのかわかんない


「電話を切った1分後、そっちにつくから
じゃあな」


って切れた電話


散らかしたままのチラシをゴミ箱に入れて、髪を整えることも忘れて自分が着てる服がキレイかどうか洗面所の鏡に自分を映しに行く

決してキレイではない

……着替えよっかな

どうしよっかなって思っていると、玄関でドアをガチャガチャする音がして急いで洗面所を出ると見えたのは


「おお~~開いた」


とドアを開けて入ってきながら感激している理一


「……え?開いてた??」

「今日、お前のお母さんが俺に退院祝いで合鍵送ってきてくれたんだよ」


と銀色の鍵をブラブラと揺らして嬉しそう


ほんまに?

……イヤじゃないけど
自分で渡したわけじゃないからなんか変な感じ

靴を脱いであがってきた理一の顔を見ていると「何?」と首を傾げられた


「あ……傷、どうかなって思って」

「もう平気、見た目は痛そうだけど」

「ちゃんと、安静にしてる?」

「安静って、病気じゃないんだからさ……
女医にももう“傷が痛まない程度なら運動してもいい”って言われてんだし」


笑いながら言われて「そう……」と目をそらして微笑んだ


理一が「幸せだな~」って迷いもなくベッドルームに入っていく

「幸せ?」と聞き返すアタシが入るのを待ってパタンと締められるドア

明るい部屋と、ベッドの上に置かれたままの理一からの手紙、ケータイ電話

理一は腰を曲げてアタシの顔を覗きこんだ

「好きな女に“会いたい”なんてわがまま言われる男って、幸せだろ」

「わがまま?」

「うん」

「“会いたい”って、わがままなん?」

「……夜中の“会いたい”は、そうだと思うけど」

「そうなんや……これがわがままなんや」

「お前、わがままって何だと思ってるわけ?」

「てっきり“15万円のバッグが欲しい”とかそうゆうのかと……」

「……」

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