☆ハイローハート
アタシの乗る順番まであと数組


「ママー、あいも風船ほしーい」


背後から聞こえてきた声に振り返ると、アタシのカバンに結びつけた風船を女の子が指差していた

理一とさやかを押しのけてその子の前に行く


「これな、ピンクのうさぎにもらってん」

「いいな~、そのピンクのうさぎさんどこにいたの?」

「夢の国に帰ったかもしれんな……」


女の子が残念そうな顔をする


「あげよか?」

「?」

どうやら関西弁が通じてないらしい


「欲しい?」

言い直しながらカバンから風船を取ろうとするのに、なかなかほどけない

「欲しい!いいの?」

もたもたしてると、理一がアタシのカバンをひっぱって結び目をほどいてくれる

「いいよ、あげる」

理一がやっと絡んだ糸をほぐして風船をアタシに渡してくれた


「はい、どうぞ」

「ありがとう~」


嬉しそうに女の子が言って、一緒にいたお父さんが「なんかすみません」と恐縮していた

理一の顔を見ると、彼も嬉しそうに女の子を見ている

「理一、ありがと」

「キミ、きつく結びすぎ」

「ごめん」

いや、謝ることでもないけど……

って思っていると、「理一くん!」と聞こえてガチャンと金属音が響いた


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