☆ハイローハート
直後にリビングに理一が顔を出す

「理一、おかえり」

理一ママとアタシが並んでる姿を見て、開口一番「は?」と理一が口をぽかんとあけている

「みさきちゃんとコンビニであって、鍋に誘っちゃった」

「……へえ」


理一ママは鍋つかみを両手に装着して、大きな鍋を持ち上げた


「さあできたよ~みんな座って~~」


食卓の端に座ろうとすると、理一ママに「こっちこっち」と手招きされ恐縮しつつ、お隣にお邪魔する
反対側には理一

協調性なくみんながそれぞれ「いただきます」と言って鍋に箸をのばす

……鍋は二つもあるのに、一斉に全員の箸がつきたてられると圧巻

そもそも鍋自体、テレビで見る以外に目にしたのは初めてで

「理一兄ちゃん、彼女かわいい??」

弟がハフハフと肉を口に入れながら話す

器片手に理一が動きを止めた
直後に痛い視線がこちらに向く

「キミ、ほんと余計なこと言うね」

「彼女かわいいよ~、お上品なお嬢さんって感じで」

「もう黙ってろ」

怒ったように、色々と山盛りの器を目の前にドンっと置かれた

みんながよそいおわるまで待ってたアタシの空の器を理一が奪っていく

そして「口の軽いヤツに肉はあげない」と、アタシに差し出してくれた器から肉を一枚もちあげて自分の器に移した

「今度つれてきなさいよ、理一」

理一ママが笑顔で言うけれど、「やだよ、連れて来るなら誰もいない時に連れて来る」と理一はそっけない

その時、理一パパがカタリと箸を置いた

「理一、お前女の子と不誠実な付き合いをしてるんじゃないだろうな」

……全員がシンと黙る

「いいか、親のいない時に女の子を連れ込んでどうこうなんていう事はだな……」

「連れ込んでねーし」


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