☆ハイローハート
「そもそも、その子のことが好きなら、その子の体も大切に扱わなくてはいかん」

「っつか食事中に性教育はじめんなよ」

え?性教育??
今からはじまるんですか??

「みさきちゃんも、もしこの男が不誠実な行為に及ぼうとしたら遠慮なく金玉をけりあげてやっていいから」

ふへっ??

弟が「ぶぶっ、金玉だって」と笑っている

いや、そこ繰り返さなくていいです

「金玉って、露骨な表現すんなよ」

いや、理一も、今はっきり言いましたけどね

「金玉に露骨な金玉も上品な金玉もないよ」

……お兄さん……


笑うのか、神妙にするのかリアクションに困っていると、理一ママが「私思ったんだけれど」と低い声で全員の言葉を遮った


……あ、もう、ほら、理一ママが怒っちゃったよ


斜め下をじっと見つめたまま箸をそろえて置く理一ママを全員が注視している
そしてゆっくりと彼女の口が動いた


「お袋さんってのはどうかしら」


…………お袋さん?
は?何が??


理一が「はい、もう金……あ、お袋さんの話は終わり!!」と声高らかに言い渡した


つっこみどころが多すぎて、もう、どこから手をつけたらいいかわからん……ッ



鍋二つでも中身があっという間になくなって、野菜や肉を追加していく

……理一ママは「みさきちゃん、あれ」「みさきちゃん、向こうの鍋の火加減」と指示をガンガン飛ばしてきた

アタシを横に座らせたのは、これが理由か!なんて思い当たる


大人数で鍋を囲むという状況がものすごく楽しくて、はじめて食べた鍋料理もおいしかったんだけれど、その雰囲気がすごくすごくうれしかった


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