ブランコ
「今日からここの担任になった山下郁斗(やました いくと)だ。年は24歳。結構年近いからいろいろ話しやすいだろ。教科は国語、サッカー部の顧問だ。あとは…」
担任の覇気のない声が教室内に響く。
担任もこの規則破りを集めたクラスの担任だけあって、ちょっと不良っぽい。
顔は…悪くはないんじゃないかな。
ヒソヒソ声でかっこいーっつってる奴らもいるから。
教師にしては珍しい感じだ。
担任は、意外と長めだった自己紹介を終え、これからある入学式の説明に入っていた。
私には関係ないな。
入学式とか出る意味ないし。
屋上とかでサボっとくか…。
と考えていたら
「入学式はサボんなよ。俺もサボりたいの我慢して出るんだからなぁ。あと、もうちょっと真面目な服装で行けよ。生活指導に捕まるぞ」
と私の考えを見抜いたように、まぁ教師らしからぬ発言をした。
けど生徒は
「先生はしゃぁーない。ガンバレ」
「別にいーじゃん?うちら関係ないからさ」
と、言うこと聞く気はサラサラない。
もちろん私もだ。
私の話を聞かない教師にそんな事言われる筋合いはない。
生徒の中からもそんな愚痴がちらほらと聞こえる。
「んぢゃ、まーとにかく行けよー」
と担任の気だるそうな一言で、ブツブツ文句を言いながらも生徒達はぞろぞろと歩き出した。