ブランコ
in 放課後
「早く帰ろー」
「んー…どっか寄ってかない?」
「いーよぉ。じゃぁさぁー…」
放課後特有の騒がしさであふれる教室。
俺はその中を、急いで…というか咲斗に捕まらないようにこそこそと教室から出た
……が。
……チッ。
「どこ行くんや?彼方」
後ろから肩をがっしりと掴まれてしまった。
渋々振り向くと、案の定そこには満面の笑みで立っている咲斗がいた。
……目は笑ってなかったけど。
「そんなん慌てて、どこ行くんや?」
「……」
「…なんか用事でもあるん?」
「…別に」
妙に優しい声が逆に怖いんすけど…。
「そっか。ほなら、一緒、帰るか」
そう言ってニタァっと笑う。
いや、怖いって…普通に怖いって!
友達にニタァって笑う奴普通いるか!?
はぁ……。
いつもこうやって誰かから情報しぼりとってんだな…こいつ。
…こんの化け狐…!!
俺はさすがに声にだす勇気はなく、視線で咲斗にそう訴えかけたが、咲斗は素知らぬふりで俺の手首を引っ張りながら外へ歩いてった。