ブランコ
「……き!!さーかーきッ!!ーー…聞いてるか?俺の話し」
いっくんとクラスの視線が俺に集中する。
「あ…聞いてなかった…」
「ったく…ちゃんと聞いとけよー?」
いっくんが呆れながら言う。
「すいません」
俺は小さく頭を下げた。
するといっくんが俺を指差しながら言った。
「今、お前に話してたの」
「俺?」
…俺なんかしたっけ?
首をかしげると
いっくんがめんどくさそうに
「だからな。昨日、今日ってさ神崎んちに電話がつながんねーの。それで、お前委員長だろ?だから家に行ってきてって話し」
「そうなんだ…。って、俺がいくんすかっ!?」
「そ」
いっくんは頷いて、“でも…"と続けた。
「まー教師的には男1人女子のところへ行かすのは心配だからーー…。副委員長……成瀬、お前も行ってきて」
先生はちょっと迷って、女子の1人を指名した。
「は?うちもっ!?」
指名された成瀬は驚いていっくんを見てから、すぐに不満そうな顔になった。
「えーうそぉ。いっくんありえない…」
成瀬は、はぁと肩を落とした。
「もう決定ー。よろしくな2人共。あ、ここにあるプリント持っていってな」
「りょーかい」
俺は顔には出さなかったけど、内心ちょっとうきうきで返事をした。
「……はぁい」
遠くから成瀬も一応頷いた声が聞こえた。