ブランコ
「…咲斗!ちょっと咲斗!!」
学校を出ると成瀬はムスッとした声で言った。
「離して」
それに対して咲斗は“うーん”っと悩みながら成瀬に言った。
「離したら、逃げるやろ?」
「……と思ってたけどやめた」
成瀬はフイッと横を向いた。
「どうせ、走ったって追いつかれるし、それに―――…興味わいてきた」
「何に?」
「神崎サン!!…転校生と情報屋が行くっていってんじゃん。興味わかない方がおかしいでしょ」
そう言って成瀬は下を向いた。
咲斗は成瀬の反応にびっくりした顔をしてから、笑って言った。
「それもそやな」
そのやりとりに俺がフッと笑うと、つられて成瀬も笑い出した。
そして俺は笑いながら2人に
「じゃ、行くか」
と声をかけた。