ブランコ
―――――……
――――…
――RRRRRRRR…
白い壁、広い部屋、最低限度の家具。
その部屋に響く無機質なコール音に、私は目を開いた。
ふっと息をついて、いつのまにか寝てしまっていたソファの上で身体をおこす。
まだ鳴り響いている電話の方を向き、一瞬迷って、立ち上がった。
………。
1分ぐらいたっても切れない。
………あいつか。
大きくため息をついて、渋々受話器をとる。
「も「―――!!!!!」
出た瞬間、甲高い声が耳を貫く。
私は顔をしかめて、少し耳から受話器を遠ざけた。
声は聞こえるが、何を言ってるか分からない。
…このまま聞いても無駄だな。
そう思った私は、無言で受話器をおいた。
ーガチャ
「―――――…はぁ」
深く深く、ため息がもれる。
なぜ…今更……。
私は忌々しい記憶を振り払うように頭を振って、ソファに戻ろうとした。
そのとき
――ピーンポーン
めったにならないインターフォンが鳴った。
……?
……誰だ…?
耳をすませる。
かすかに男の声と女の声の話し声がする。
何を話しているか聞き取ろうとしたその時
もう一度、インターフォンが鳴った。
私はいぶかしみながらも、玄関の方へ歩いていく。
そして鍵をあけてドアを開いた。