ブランコ
「彼方…あんた今までテストどんくらいだったの?」
うなる彼方を見て、呆れながらに綺亜羅が聞く。
「………赤点、ほぼ」
「アホやわ」
「うそでしょ…」
彼方の答えに2人して、頭を抱える。
さすがにそれは…危ない…。
高校、留年あるからね…。
「そーいうお前らはどんくらいなんだよっ」
いささかムッとした声で彼方が言う。
「あたしは…ギリギリ赤点……なんないくらい?」
「俺とほぼ同じじゃねーか」
「違うっ!全っ然違うから。赤点は一回もとったことない!」
“赤点と赤点じゃない差は大きいんだからっ”
と真剣に言う綺亜羅。
「ぅ゙ー… まぁそれはそうかもしんねーけど…。――――咲斗は?」
「俺?俺は…せやなぁ、平均70くらいはいくで?」
「えぇ!?まじで?…咲斗意外と頭いいんだな…」
そう言って沈む彼方に咲斗は言った。
「イヤ。ふつーやで。普通」
「…………」
「…あっ!そういえば蒼空はどうなの?」
咲斗の一言でますます沈んだ彼方を無視し、綺亜羅はいい方にか悪いほうにか、期待するような声で私に話をふってきた。
読書を中断して、3人に顔を向ける。
沈んでいた彼方も興味があるのかこちらを向いた。
「……平均…」
いくらだったっけ…と考え、だいたいの成績を思い出して口を開く。