イタル~another day~
再び進行方向に目を移し、

「覚えてないのか~」

とちょっと残念そうに言った。


「わたしが十うん歳の時にイタルが生まれて、ものすごくかわいく思えてね」

「毎日のように見に行ってた」

「赤ちゃんの時もかわいかったし、日々成長して違うかわいさを見せてくれた」

ちょっとやめてよ。
照れる。

口には出せなかった。

「幼稚園あがる前かな~。『レイちゃん、ぼくね、チサちゃんとケッコンしゅるの』って、わたしにチサちゃんを紹介してくれてさ~」

なにそれ?

「ちょっとショックだったな~。それまでは『ぼく、レイちゃんのおムコさんになりゅ』って言ってたのにさ」

顔から火が出るとはこのことだ。
耳まで熱い。

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