イタル~another day~
ためらいがちに玲ちゃんが口を開く。

「イタルはわかってると思ったから、あえて言わなかったんだけど・・・」

「ん?なに?」

「・・・族とか、チームとか、そういう連中とかかわるなよ」

「うん。わかってるよ」

「それならいい。親父さんに心配かけないようにな」

そういえば、昨夜俺が自分の部屋に引き揚げる時も、玲ちゃんは親父と呑みながら何か話してた。

「もしかして、あの後叱られたの?」

「ばーか。叱られないよ。謝っただけだよ」

「ごめん」

「いいんだ。親父さんだってイタルがそうならないことはわかってる。それでも心配で、わたしに念をおしただけだよ。わたしも見てるから大丈夫だって言っておいた」

「ありがとう」


「物事をわかって乗る分には、バイクは悪くない。道具を悪者にしたって仕方ないじゃないか。だけど、危険があることを知っていても損はない」


"悪いことばかりじゃないし・・・"

という小声で言った一言は聞こえなかったふりをした。

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