イタル~another day~
「抜かすタイミングはずっとあったのに抜かさないで、こっちがスピード上げれば離れずについて来る。ヤな感じだよ」

「そうなんだ・・・。何がしたいんだろう?」

「さあね。からかってるだけだとは思うけど」


低速コーナーを出て加速にもたついた瞬間に、一台のバイクが追い抜いていった。

「嫌味なところで抜くなあ。わたしも腕が落ちたかね」

車の前方に出たバイクはそのまま去っては行かなかった。
抜かさせないようにブロックしながら、徐々にスピードダウンしていく。

「あと少しなのにな」

「あと少し?」

「この山を抜けてしまえば、奴らも絡んでこない・・・はず」

「はず・・・」

「イタル、バイク売ってくれた人に連絡出来るか?」

「総太さん?番号は知ってるけど?」

「ちょっと連絡してみてくれる?」

「・・・わかった」

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