イタル~another day~
まだ手直しをする気配に、

困ったな

と思っていると、

「イタル、今日はあがってくれ」
とジュンが声をかけてきた。

小声で、
「バイトなのに遅くまでゴメン」
と付け足す。


「こっちこそ悪いな」
とジュンに言ってから、声を大きくして

「すみません。奈良、先に帰ります」
と皆に伝えた。

誰も文句を言うこともなく、
「おつかれ~」
と返事をしてくる。

女のコが一人、栗崎さんに近寄り
「美奈ちゃんは?」
と訊いている。

彼女は
「うん。わたしは・・・」
と言って、ちらっと俺を見てから
「・・・もう少し大丈夫」
と返事をしていた。


「お先に」
と誰に言うともなく、再び口にすると

「奈良くん、また明日」
とこれにも彼女が答えた。

教室をあとにする。

去り際に、ジュンの複雑な表情が見えた。

何か変な感じがした・・・

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