イタル~another day~
「奈良くん、・・・イタルって呼ばれてるんだね」

それでも栗崎さんはまた一歩近付いて来る。

「好きなコはいても、彼女いない・・・と思ったんだけどな・・・」

彼女じゃないよ

と喉から言葉が出そうになる。

また一歩近付いて、
もうこれ以上距離がなくなり


コトンと

彼女の額が俺の胸に当てられた。

「それでも奈良くんのこと好きなんだけど、どうしたらいい?」

胸の中に抱きしめてしまいたくなる。

でも、
抱きしめることも

彼女を引き離すことも出来なかった。

そして返事も。

しばらくして、
スッと彼女は自分から離れ

「ゴメン。・・・明日がんばってね」

と言い残し教室から走り去った。



俺、卑怯者だ・・・

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