イタル~another day~
再度、タイムをかけてマウンドへ行く富樫君。

今度は外野手も呼ぶ。

遠くから駆け寄って来た。

揃ったのを見て富樫君が言う。

「バッターは右方向狙いのようです」

ライトの"それほど"うまくもない佐藤君がごくりと唾を飲む。

セカンドの高見君と目が合う。

「あえて右方向に打たせますから、センター赤木君、ショート吉沢君は右方向意識してください」

「佐藤君、高見君、奈良君もお願いします」

富樫君はぐるっと全員の顔を見渡した。
「守備位置を見て狙いを変えられても面倒なので、極端に右に寄らないでください。意識だけ、お願いします」

細かい指示。

校内の球技大会だということを忘れそうになる。

みんな真剣に取り組んでいた。
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