暴走ゲーム
「夜遅くに女の子が歩くなんてダメだよ、菜摘」
その声にビクッとする。
振り返るな。
またあたしの本能がそう叫んでる。
逃げよう!!
でも、足がすくんで震えて走れない。
「あの3人、手強かったよ~。全然死んでくれなくてさ~、大変だった」
足音がだんだん、あたしに近付いてくる。
「あの晴也って子、菜摘が好きだったんだね~。最後まで必死だったよ。まあ?もうこの世には居ないけど」
「っ!?」
振り返ってしまった。
アイツの手には、刃物・・・。
しかも、赤い液体がついている・・・。
「菜摘が悪いんだよ?菜摘が俺を裏切らなきゃ。約束を守れば、何もしなかったのに」
「あたしの・・未来は・・・?」
「は?」
ようやく、あたしは声を出せた。
「あたしは・・っ、好きな人が居るのに・・無理矢理あんな噂流されて・・・絶対・・お前なんかと付き合わない・・っ!!」
「うるさい」
徐々にあたしに近付いて、もう目の前。
「アンタは・・簡単に人殺して・・何も残らないの・・!?後悔とか・・しないの!?」
「黙れ。菜摘が約束、破らなきゃ良かったの話だ」
ふいにアイツが顔を上げ、刃物を振り上げる。
「あの世で、みんなに詫びることだな」
刃物があたし目がけて振り下げられる。
殺される・・・っ。
瞬時に目を閉じたあたしの耳に、あたしを呼ぶ声が聞こえた。
その瞬間、意識を失った・・・・。