暴走ゲーム


「生きてる?」

「え?あ、うん。生きてるよ?」

「良かった。早く帰りなよ?」

「うん!!今から帰るね!!」

電話を切って溜息。

そうだよ・・・。

もう・・アイツは居ないんだよ・・・。

何心配してんの?あたしは・・・。

「そうだよ。俺はもう居ないんだから」

えっ・・・。

背後で声がして、背筋が凍った。

まさかね・・・。

だって・・死んだじゃん・・・。

「迎えに来たよ、菜摘」

その声に・・・振り返ってしまった。

そこには・・水で濡れた、アイツが刃物を持って・・・

そう・・あの時と同じ姿で・・目の前に立ってる・・・。

「もう・・次は無いよ」

ニコッと笑った顔。

刃物を振り上げた時、後ろではあたしの笑った顔が見えた・・・。

ドスッ・・・・

鈍い音は、あたしが最後に聞いた音だった・・・・

< 49 / 51 >

この作品をシェア

pagetop