星、流れ
薄暗い店内。
グラスのぶつかる音、笑い声。
相変わらず賑やかな店内で、静かなテーブルが一つ。

「菜々、大丈夫だって!メール気付いてないだけだって!」

「……ううん。変なやつだって思われて退いたんだよ」

携帯を灰皿の傍に置き、溜め息を一つ。

……光哉からメールが返って来ない。

お酒をどんなに飲んでも上がらないテンション。

「どんなメールしたのよ?」

「……はい」

和歌に携帯を渡す。

『来週の木曜って空いてる??ヒマならライブ行かない(>_<)??』

「別に……問題ないメールだと思うよぉ??」

そう、普通に会ったり出来てる友達ならね。
けど、相手は会った事もないメル友。
それなのにイキナリ誘いのメールってのはおかしな事で……。

「私、早くも失恋?」

「もぉっ!まだ何もなってないのにネガティブ過ぎ!!」

「はぁ……チケットなんて貰わなきゃ良かった。もともと縁起悪いし」

「ん、確かにねぇ」


チケットを貰ったのは昨日。


和歌が遊べない時に遊ぶ男友達から。

「彼女と行けなくなったからさ。それ、あげる。捨てるのもなんだし……」

聞けば、遠距離恋愛中の彼女が急に来れなくなったそう。
本当に楽しみにしていたのは2ヶ月前から知っていた。
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