星、流れ
本当に楽しみにしてたんだ……。

寂しそうに笑う【太一】こと、タッちん。

「菜々がイイ感じの人と行っておいでよ」

「いいの?」

「しょーがないじゃんっ。高かったけど、無料であげる」

そう言って悪戯に笑った。



「だから私も逢えないんだぁ」

「考え過ぎだから!!はい、飲んで気長に返事待とうよ」

言われて目の前にオレンジ色したカクテルを出された。

「かんぱーい!」

「乾杯……」


ブブブッ


「っ!!」

急になったバイブ音に思わず吹き出しそうになった。
サブ画面に映るのは……。


「光哉だ……」

「良かったねー!」

自分の事の様に喜ぶ和歌を尻目に携帯を開く。

『携帯忘れてドライブ行ってたよ(>_<)ゴメン!ライブ??気になる(^O^)どこで??何時から??』

一気に体の力が抜けた。

良かったぁ…。
携帯忘れてただけかぁ。

「何時からって!」

「それって……オッケーって事なんじゃん?!」

タっちんのせいにしようとしてゴメン!と胸中で手を合わせながら、光哉への返信メールを打つ。

……心臓が痛い。
< 11 / 17 >

この作品をシェア

pagetop