星、流れ
そうだ……。

逢った事がない。

電話とメールだけ。

それだけで何が解るというのだろう。

気持ちが一気に冷めて行く。

夢から覚めて行くかの様に。

暗い夜道が明るく見える。

「そ、だね。でも私だって可愛くないし、逢って気持ち冷めちゃうかもよ?」



今の私みたいに。



どうしよう。

気持ち、冷めたなんて……今更言えなくない!?

「あのさ……」

『じゃあ、付き合ってくれる?』

今の間違い、と言おうとして、また光哉に遮られた。

「いや、ほら……好きだけど逢ってみないと分かんないじゃん?光哉の気持ちも変わるかもだしさ?」

【好きだけど】ってまた言っちゃった……!!

と、取り返しつかない事を。

『逢っても俺の気持ちは変わらない。菜々は変わるの?』

真面目な声に、今の間違い!なんて言えなくて……。

「変わらないと思うけど、顔見て話す印象とかって違うじゃんね?」

そんな余計な事を言ってみたり。

『でも、俺は俺だし菜々は菜々だろ?』

……そうですね。

えぇ、そうですけどね?

どう断ろうか。

「逢ってもないのに付き合うのは……嫌なの。メル彼とか嫌」

ナイス!
自分!
断れた!……なんて、甘かった。

『電話もしてるし、メールだけじゃないじゃん』

そいう意味じゃなくてだ!!!

私は、やっと着いたアパートの階段に座り頭を抱えた。
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