星、流れ

ブブブッ

『もう着いてる??』

光哉からだ。

待ち合わせ場所まで距離はそんなにない。

だけどこの人込みじゃ……なかなか着きそうにないな。

人込みが無い木陰まで移動してメールを打つ。

『ゴメン、近くまで来てるんだけど人込みで遅くなりそう(>_<)』

「……よし、と。行きますか」

緊張からか、気まずさからか、鼓動が速まる。

うわぁ……。

どうしよう。

すんげぇ帰りたい。

普段はうざったい人込みの中が、こんな時は落ち着く。

待ち合わせ場所まで後数メートル。

ポケットの中で携帯が震えた。

多分、光哉だろう。

待ち合わせ場所は公園。

公園といっても遊具がある訳じゃなく、散歩やキャッチボールなんかが出来そうな芝生が広がっている。

ライブ会場からそんなに離れてないこの公園を待ち合わせ場所に使うのは私達だけではない様で、そこにはチラホラ人がいる。

何か目印になりそうな所に居た方が良いよね。

そんな事を思いながら公園を見渡すものの、大きな木の下も派手なトーテンポールも人でイッパイだった。
仕方なく入口近くにある白いベンチに座って携帯を開いた。

『わかった(^∀^)着いたら連絡ちょうだい』

……また、ハートマーク。
溜め息が知らずに出る。

周りは楽しそうに笑っているのにこの差は一体。

出かける前に和歌に言われた言葉が不意に胸をよぎる。

『好きだったんでしょ?今も別に嫌いじゃないでしょ?なら、逢って自分の気持ち確かめたら?』

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