星、流れ
「和歌っ?!起きてた!?てか、どうしよ!!!」

『菜々…何?何をどうしようなの?』

私の電話で起こされて、少し不機嫌な和歌の声。

心の中でゴメン、と手を合わせて泣き付いた。

「光哉ね、朝九時頃に寝たらしいのっ!」

『うん…』

「でね!おはようの電話出来ないかも、ごめんねってメールがあったのっ!」

『うん…』

「私…どうしたらイイ?!」

本気で、どうしたら良いのか解らなかった。


まるで初恋かの様に。


そんな私に、和歌は呆れた様に笑いながら優しく言ってくれた。
『朝九時……今は午後四時、ね?六時間は寝てるはず。電話してごらん』

「そっか、そうだよね。ありがと!電話してみる!!」

『はいはい。頑張って。和歌は寝直します。おやすみ』

「ごめんね!おやすみ」

電源ボタンを押して、深呼吸。

着信履歴から光哉を探す。


鼓動が速まる。

息が苦しい。



……

「お、お茶飲んで一服してからにしよっ!」

携帯を閉じて煙草を持つ。

…何してんだろう。

アパートの屋上で頭を垂れながら煙りを吐いて落ち込む。

私、案外小心者だったんだ。

なんて、今更気付いてみたり…。

自分の気持ちに気付いた途端、身動きがとれなくなってしまった……。

「アホか、私は……」

今度は顔を上げてオレンジ色の空に煙を吐き出す。


かっこわりぃ。


マジで。


「はぁ……電話する、か」



まだ暑い夏の夕暮れ。


顔がほてっているのは夕焼けのせいなのか……

緊張からか……

「あー!もうっ!!」

半ば、自棄になりながら通話ボタンを押した。

かっこわるい自分は嫌い。

声聞きたい。

なら、かけなきゃ始まんない。
< 6 / 17 >

この作品をシェア

pagetop