星、流れ
「和歌ーっ!どうしようー……」

待ち合わせ場所になっているアパートの屋上へ駆け上がっての第一声に「またか……」と、言わんばかりに和歌が携帯に落としていた視線を上げた。

私が光哉への想いを自覚してからの毎日の光景。

「何……?」

「ライブのチケット貰った」

「……で?」

「光哉、誘いたいんだけどさ?」

貰ったチケットと和歌を交互に見ながら言うと、呆れた様に目を細められた。

「和歌……」

「ダメ元で」

「っ!!ダメ元って……」

そんなぁ……。

「っぷ。あははは!嘘、嘘っ。そ、んな顔しなくても……っ」

「……なっ?!!」

もうっ。そんな顔ってどんな顔よ!

拗ねて睨んでる私を見て、何がそんなにおかしいのか……喋るのもままならないくらい笑っている。

「ごめっ……!だって菜々っ。あははは!」

「何よっ!」

「はぁ……ぁ。恋愛してるね」

やっと落ち着いたのか、お腹痛い、と煙草に火をつける。
つられて私も火をつけた。

「……恋愛してるわよ。悪い?」

「ううん。可愛い」

「かっ?!……可愛いもんじゃないでしょ!!」

言って、ニヤニヤ笑ってる和歌に向かって思い切り煙を吹いてやった。

可愛いとか言われるのが苦手な事を知っててワザと言うんだから。
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