星、流れ
「はぁ……情けない」

今度は地面に向けて煙を吐くと、隣りから煙と共に和歌のだらけた声が返って来た。

「何がー?」

「何がって……自分で決めて動けない事が、よ」

あぁ、と煙草を揉み消し悪戯そうに笑われた。

「『こうしたい』って事を他の人に背中押されたいんでしょ?」

本当、何でもお見通しの和歌。

和歌の言う通りだった。
『好き』なんだって自覚してから早十日。
進展無し。
……の上に、電話でもはしゃいじゃってテンション馬鹿高くなるし。

うざい女って思われてないか不安で、メールするのにも今の時間に送って大丈夫か気にして……誰かに『大丈夫』って後押しされなきゃ動けなくなってた。

「菜々は好きな人には素直じゃないからね」

……はい。
その通りです。

「解りやすい性格なくせに意地張るんだから」

……だってぇ。

「まっ、そこが和歌は可愛いと思うよぉ」

かっ……!?

「もぉっ!!和歌っっ」

「あははっ!……さてっと、居酒屋行きますかっ」

「うん、そだね」

「酒の勢いで誘っちゃえっ!」

酒の力を借りろと……?

「えー……それは何か、やだぁ」

「やだぁって、じゃあ今誘える?」

階段を下りながら意地悪そうな顔が見上げて来る。

そう言われると……。

「誘える?誘えないよねー?だって菜々、小心者だもんねー」

何……その言い方。

「誘えるし!誘うわよ!!今すぐねっ」

小心者ってもね、やるときゃやるのよ!!

ピッ

ピピッ

ピッ




送信っ!



見てみろっ!と言わんばかりに和歌を見て……後悔した。

だって

「偉い偉い」

なんて言いながら、してやったりって顔で笑ってる。










……や、やられた。
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