死に神と俺
隣のクラスのあの子が死にました
授業も中盤に入った、現代文の若い教師が、スラスラと教科書を読み進めていくのを聞き流す。1番後ろの窓際の席の俺の視線は、黒板ではなく窓の外、校庭にあった。
隣のクラスの女子が体育の授業で、リレーをやっているのをじっと見つめる、1番遅れをとっていた女子からアンカーへとバトンが渡った。
「…すげ」
思わず言葉を漏らしてしまった。1番ビリだったチームは、アンカーにバトンが渡った瞬間から雰囲気が変わった。そのアンカーは、他のチームのアンカーをどんどんと追い抜かして、コーナー半分でトップを遂に抜かした。
高い位置で束ねられたポニーテールが、走るリズムに乗って揺れる。足は前へ前へ、失速することなどない。彼女はゴールを踏み締めた瞬間、すごい笑顔だった。
「…………はあ…」
思わず顔を机に伏せた。なんて可愛いんだ、彼女は俺の一年前からの想い人だ。
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