死に神と俺
「てめぇ、死に神でもいい、とか言ったよな」
「…………は?」
「確かに言った。だからあいつがあたしに行けって」
言ったかもしれないが、めちゃくちゃ気が動転してたから。面倒臭そうに腕を組む少女を凝視する。
「…まさか、お前」
「そう、死に神」
嘘だ、きっとなにかの間違いだ。ガキのおふざけかなにかだろ、なんて考えてたら、少女は俺をすごい形相で睨む。
「てめぇ、さっきから失礼なことばっかりぬかしやがって。そんな謙虚じゃねえ奴は知らねえ、勝手に泣き喚いてろ」
少女はくるりと後ろを向くと、地面を蹴って、飛ぶ……つもりだったらしい。
「………んだよ、あの野郎…!!」
少女は舌打ちをすると、独り言をぶつぶつ呟きだす。
「うっせーな!!わかったよ糞ジジイ!!!」
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