死に神と俺




「おーい、高根沢くん。集中しようね」


「…すんません」



教師に注意され、視線が俺に集まる。そしてすぐにそれは散らばった。


予鈴が鳴り、挨拶をすると皆立ち上がって、学校中が休み時間の雰囲気になる。また校庭を見れば、彼女が笑いながら友人と学校に入ってくるのが見えた。



「優人!お前なに注意されてんだよ!」


「うっせーよ、卓也」


「…わかった、木下見てたんだろ」



同じクラスで1番の友人の卓也が、窓の外を見てにやりと笑う。俺は気まずくて目を逸らした、それを見て卓也は爆笑する。うるせえ。



「可愛いよなあ、木下。学校一可愛いって」


「…ふーん」


「…まあ、お前もそろそろ勇気出して話し掛けてみたら?」



卓也はそう言うと、「購買行こうぜ」なんて廊下を指差した。俺は溜息をついて席から立ち上がる。



「んなことできてたら、とっくにしてるっつうの」



その言葉が卓也に届くことはなかった。




.
< 2 / 41 >

この作品をシェア

pagetop