死に神と俺
今だにぐずぐず鼻を啜る卓也を、生暖かい目で見ていると、頭にズキンと痛みが走る。
「奇跡だってよ、もう少し打ち所悪かったら死んでたらしいぜ」
「…ああ、そうか」
頭に触れると、包帯が巻いてある感触がやけにリアルだった。全く、神様ってやつはすげぇ。人の死を簡単に覆しやがった。
腕に繋がる点滴が、ポタリと垂れた。
「ほんとすげぇよ、全治一週間だと。不死身じゃねえのか」
「馬鹿野郎、俺は意外に脆いんだぞ」
「だったら普通死ぬんだよ」
ひとしきりふざけたあと、卓也は病室から出て行った。上がブレザーで下がバスパンなのをあえて突っ込まなかったが、俺の話しを聞いて急いで来てくれたんだろう。卓也はなんだかんだでいい奴だ。
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