死に神と俺







木下が怖ず怖ずと病室に入ってきて、俺のベットにゆっくり近付いてきた。


俺が静かに名前を呼べば、木下は顔を歪ませた。



「……よ、かったあ…!!」


「き、木下?!」


「血、いっぱい出て、…うぅ、…死んじゃうかと思ったぁ……!!」



立ったまま、俺の服の袖を掴んで、わんわん泣き出す木下に、俺はどうしていいかわからなかった。



「木下、泣くなよ…」


「うぅ、ぐすっ…う…!」


「俺、生きてるから、…だから泣くな」



俺は生きてる、ギリギリだけど。だから泣いてほしくねえよ。点滴繋がってないほうの手で、恐る恐る頭を撫でる。



「…う、うん」



木下は両手で目を擦って、鼻を啜る。あー、やっぱりなんだかんだで可愛い。





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