死に神と俺






「すごい、」


「え」


「嬉しい、…そんなこと言われるの、…初めて」



木下は多分、すげえ鈍感で、すげえすげえ純粋。誰の言葉もまっすぐ受け止めて、エネルギーに変えてるんだろう。だからこんなに眩しい。



「私、走るのが大好きだから。…だから、私の走る姿見て、そうやって言ってくれるの、すごく嬉しいよ」


「い、いや、…まあ」


「本当にありがとう」



頬を染めて、照れ臭そうに笑う木下に、俺はただ頷くしかできなかった。


鈍感過ぎるだろ、…神様に死に神。俺、ほんとに死なないのかな。





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2011/04/22/
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