死に神と俺






「優人、なんかあったのか?」


「……卓也…」


「ん?」



俯いて、表情が読めない海は俺の名前を呟く。座っていたソファから立ち上がり、近寄ると、顔を上げる。


海の目は真っ赤に腫れてて、めちゃくちゃ驚いた。



「お前、どうしたんだよ」


「…海、そんなに魅力ないのかな」


「は?」


「胸も小さいし、化粧もあんまりしないし、髪の毛も短いかし、…子供っぽいから?…だからダメなのかな?」


「………海、」


「どうしたらいいの?どうしたら、優人は振り向いてくれるの?」



今回はダメージがでかかったらしい。海はでかい目から大粒の涙を流して、また俯く。いつもしつこいくらいアタックをしていたが、…優人の奴。


俺は海を緩く抱きしめると、いつもは甘えるように背中に腕を回す海が、抵抗するように俺から距離をとろうとする。






.
< 38 / 41 >

この作品をシェア

pagetop