死に神と俺
衝撃は、角から出てきた女子とぶつかったせいだった。女子は、俺とぶつかった衝撃で携帯を落とす。
俺はそれを拾い上げて、ふっ相手の顔を見た。
「え…?!」
卓也は俺の真横で笑いを堪えている。携帯を落としたのは、さっきまで見入っていた木下だった。
彼女は俺の顔と携帯を交互に見て、笑った。
「携帯、ありがと」
「…いや、ぶつかって悪い」
「1組の高根沢くんだよね、どこいくの?」
「購買に、パン買いに」
「ふうん、…階段遠いよね、二つ欲しくない?」
思わず笑ってしまった。さっきまでの俺達と同じこと言ってる、今まで話したこともなかった木下が。
「大丈夫、今から高根沢が校長に言いに行くから」
「はあ?!」
「あはは、まじか!…じゃああと、購買にプリンもうって欲しいって頼んでおいて」
「お前ら…」
「あ、じゃあ私そろそろ行くね。バイバイ!」
木下は遠くに友人を見つけると、走って行ってしまった。
…初めて話した。
「案外気さくだよな、木下」
「卓也、俺校長室行くわ」
「…お前馬鹿だな!爆笑!!」
あ、早くしないと昼休み終わる。
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