13月32日と25時の昼夜
こうして、アクという青年がタルの家を訪れた。
大きな葉で作った暖簾を押して家の中に入ると、ムシロの上にあぐらをかいて座るタルがいた。
タルは日焼けした顔に温和な笑みを浮かべてアクを迎え入れた。
「ようこそいらっしゃいました」
てっきり、怪しい呪術でも使う皺くちゃの老人かと思っていたが、アクが見たタルは、15歳にもならない男児だった。
「タルさん、あんたが飼っている、珍しい大蛇ってやつを俺にも見せてくれないか」
「良いでしょう」
どうぞお座りください、と言って、タルは部屋の隅の暗がりから大きな古い壺を、ゆっくりゆっくり持ってきた。
ぎっちり蓋をしてあるままで、アクに渡した。
アクはそれを一回転、二回転して眺め回し、よぅやくタルに尋ねた。
「本当に、この中に蛇が? こんなに蓋を閉めて、息ができないのでは?」
「そうでもしないと、逃げる恐れがありますので。でも、時々新しい風を入れてやっていますよ」
「開けても良いかい?」
「ええ、どうぞ」